矛盾のない弦楽器奏法(指導要領)

令和5年現在、神奈川、静岡、長野各拠点にて50数名のお弟子さん達と有意義な時間を過ごしております。
お弟子さんが各楽器を愉しめた時、それは私も嬉しいものです。
私がお伝えするのは理に適った楽器の鳴らし方、音楽は皆がそれぞれに表現しておられます。

 

ヴァイオリン族の楽器はルネサンスからの西洋音楽の正史と共に発展してきた楽器です。私は演奏現場でバロック、クラシカル、現代の各スタイルのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと弓を用いております。ルネサンス後期からロマン派までのレパートリーを、国(言語)や時代、楽器の発展を踏まえた知見が求められる現場で培った様式感は、必要に応じてお弟子さんにもお伝えしております。

なによりも世間一般にまかり通る器楽演奏法の「矛盾」の部分は、極力排除する努力をしております。

 

YouTubeの動画で数多の巨匠達の演奏を手軽に学べる世の中になって久しい今日、どうした事でしょう?

明朗快活な楽曲、幸福感に包まれる美しい旋律を、硬ばった柔軟性を欠いた両の手で弾く姿、時として哀れな気持ちになります。

300年前のジェミニアーニ、200年前のレオポルド・モーツァルト、100年前のシュラディック、時代の名教師達がそれぞれの時代に求められる技術習得のメソードを残しております。が、巷で実践される弦楽器レッスンの多くが各地でガラパゴス化したロシアン奏法、ユダヤ奏法の亜流ばかり。

現代人が400年以上に渡るクラシック音楽を幅広く弾きこなすたった一つの方法は、伝統的な本流(フランコ・ベルギー派)を知り、楽器と体が喧嘩しない為の技術を身体で覚えること。

この400年余りの伝統的奏法を踏まえ、どれも否定しない楽器の鳴らし方は何時間でも疲れずに美しい音で任意の曲を弾き続けられます。

 

具体的には右腕の重さのみを用いて、馬毛と弦が「歌手の声帯」の如く振動し合い、ヴァイオリンの裏板まで共鳴するボーイングセオリー。

ヴァイオリンを握る左手が指を力ませず、弦を指で触れるようにタッチする最少可動範囲のフィンガーリング。

両手が不自由な要素を無くした際には、必ずお使いの楽器が持ち得るベストな音色を奏でてくれます。この奏法は人前で緊張するステージ上でもっとも音色を左右します。熱心な生徒さんほどそこに近づいております。


逆に右手のチカラで押しつけるようにボーイングを行い、左手はヴィヴラートが止まらず指は激しく指板を叩いている、日常的に頻繁に見かける奏法ですが、緊張の度合いなりの音色で楽曲と闘っておられます。

 

そして、人は自分の呼吸の中で自分の声で喋る様に、無理のない奏法は体格や手指の大きさを問いません。

ヴァイオリンは最小の弦楽器です。お弟子さんの中には手の障害の為サウスポーヴァイオリンを使用の方、指の関節が通常より少ない方(短指症)、それぞれ理論的にカバー出来れば全く問題ありません。

 

奏法の習得に修練は必要ですが、時間に追われる現代人こそ無駄な練習をしない事が習得の要といえます。
曖昧な理論、経験則に基づかないメソッド、蒙昧な感情論、大きな音のみで進めるレッスン、身体メカニズムを無視した体育会系の指導等々、全て楽器と闘い続けるマイナスの時間となり得るでしょう。
カラオケの席で大声を聴き続ける事を想像しましょう。歌い手は喉を痛めた挙句、皆に嫌がられ、聴いている人は我慢の時間、お互いが気持ちよくなれません。

 

レッスンに於いて演奏に関係する全ての「楽器と体の接点、関節、筋肉、下肢」について、具体的なアドバイスしかしません。
ここまで私を育ててくださったのは、当然これまでの全ての生徒さん達で、感謝に絶えません。

 練習中、痛い!これはまさに上達と逆行しております。痛い箇所の1つずつに原因と対処法があります。ただし、日常生活で使わない筋を演奏の為に使い始めた時に、筋肉痛の様な現象が起こりますがそれは正常な前進と捉えております。

現在の奏法、今の練習環境が不満足な方。特に、どうやってヴァイオリンを教えたら良いか迷われている先生方、どうぞお気軽にご相談下さい(弾くことと教えることは全く別です)。自分が教わった様にお弟子さんに教えていては、御自身の弱点も継承されてしまいますね。
また熟練の先生がた、議論をして研鑽を高め合いましょう。

 

音楽を習得したい方は別にご相談ください。複数のアマチュアオーケストラ、現代楽器〜古典楽器の各アンサンブル、弦楽合奏、ピアニスト〜チェリストまで様々な方々と常に音楽を共有し、指揮指導も喜んで受けております。

日本語を知らない人は日本語を話せませんが、西洋音楽のメロディを形成している音型(単語の様なモノ)を正確に把握し、それを象るリズム(韻やダンスのステップ)を知れば、西洋音楽は日本人でも会話をする様に楽しめます。音楽の習得は読譜次第で180度変わりますし、ルネサンス、バロックの基本音型の喋り方をマスターする事で古典派もロマン派も理解度は桁違いに増します。あくまでも、音にするのは確かな技術力なので別問題ですが。

 

理念は「スポーツ医学に劣らず、ボーイングとフィンガリングを100%理論的に」お伝えすること。
生徒さんの目標地点は「弓奏鼻唄の如く」です。

長文駄文最後までお読みくださり有難う御座います。

 

現在の個人レッスン受け入れ可能枠

(モダン/バロック各ヴァイオリン、ヴィオラ、ヴィオロンチェッロ・ダ・スパッラ、チェロ、ピアノ、ルネサンス〜ロマンティック時代のアンサンブル法)

神奈川県央2名/横浜市北部1名/静岡県東部2名/伊豆下田市1名/静岡市内1名/八ヶ岳中央高原1名

※八ヶ岳教室2019年開講(諏訪南ICから10分)、横浜市八橋幼稚園教室2020年開講(希望ヶ丘駅徒歩5分)

レッスン回数は必要最小限、レッスン代も最低限しか頂戴しません。児童のレッスンは最低月3回をお勧めしております。